楽天株式会社は31日、子会社の楽天カードを通じて仮想通貨取引所みんなのビットコインを買収すると発表した。今年に入って日本の証券やIT大手が仮想通貨交換業に相次いで参入を発表。これに楽天が加わること競争が激化することは必至であり、日本の仮想通貨交換業界は戦国時代の様相を呈している。
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プレスリリースによると楽天は、楽天カードを通じてみんなのビットコインの全株式に当たる5100株を取得。31日に楽天カードとみんなのビットコインの親会社であるトレイダーズインベストメント株式会社との間で株式譲渡契約が締結されたという。買収額は2億6500万円、株式は10月1日に譲渡される予定だという。
楽天は、「将来的にはEコマースや実店舗での決済、P to Pでの決済手段」として、仮想通貨の役割が大きくなると予想。こうした決済手段としての仮想通貨を円滑に提供していくためには「仮想通貨交換所機能の提供」が必要であると考えていたという。
また、楽天証券においてFX顧客を中心に仮想通貨による運用機会の提供を期待する声が大きくなっていたことも背景にあるそうだ。
一方みんなのビットコインは、仮想通貨交換のみなし業者で、交換業者の登録を申請中。4月に金融庁から経営管理態勢が不十分であることや利用者への情報提供、法定帳簿の作成、マネーローンダリング(資金洗浄)及びテロ資金供与対策などが適切に講じられていないことを理由に業務改善命令を受けていた。
みんなのビットコインの親会社トレイダーズホールディングスも今回の買収についてプレスリーリースを発表した。今後も仮想通貨交換所を運営するためには「人員の大幅増員やシステム面の強化・改善、セキュリティ対策のより一層の向上、利用者保護」などが求められ「国内において仮想通貨事業の採算性が低下することになる」と説明。仮想通貨交換業者として登録されるまでに長期戦を強いられることになると予想していたと述べた。このため楽天グループの傘下に入ることで「仮想通貨交換業として必要な整備(経営管理態勢 の構築、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に係る管理態勢の構築等の業務改善命令で指 摘された事項の改善)を行って事業を強化」することなどが最善策だと判断したという。
今年に入って、大手企業による仮想通貨取引所への参入が相次いでいる。4月にはマネックスグループが仮想通貨取引所のコインチェックを買収すると発表。その1週間後にはヤフーが子会社のZコーポレーションを通じ、仮想通貨取引所を運営するビットアルゴ取引所東京の株式40%を取得すると公表した。6月にはSBIホールディングスが子会社のSBIバーチャルカレンシーズを通じて仮想通貨交換業の営業を開始し、7月にはLINEが仮想通貨取引所「BITBOX」の取引を始めた。
さらに今月20日には、SBIホールディングスがみなし業者であるLastRootsに対して、追加出資を行ったと発表。これでみなし業者として営業していたコインチェック、みんなのビットコイン、LastRootsの3社全てに大手企業の資本が入ったことになる。